ミュージカル“Evita”を終えて
担当 Walter Doyle
Working on a musical is fascinating. We start in January and at first, the musical is a bunch of unconnected wisps of music that echo through your head while you go through your day. Bit by bit, the actors start to do their songs their way; the movement on stage gels and the ideas stop being abstract; and, through the efforts of the cast and crew, the musical comes to be something real.
Evita was a little different for us this year. We had to be very creative in the way we produced it because we are a small school. Normally, a production of Evita calls for a male chorus, a female chorus, a children’s chorus and dancers accompanied by an 18-piece orchestra. To adapt the play to our very talented students, we split the role of Eva into four parts, each representing an age of Evita’s life. The chorus was incredibly hardworking, singing on all but five of the songs in the show, and even then, we created the illusion of larger crowds with cardboard cut-outs.
We managed to feel epic with a 16 member cast. The stage thrust into the audience, like a cat-walk. All four Evas started in a liminal space on the upper stage, as if waiting for their time to shine.
With such large numbers, the costumes were particularly tricky because the chorus acted as the social milieu the songs were set to. Backstage was a regimental affair: a plot of the costume changes by character and by scene measured over 4 meters long. Some costume changes had only 15 seconds to be achieved.
The music of Evita was continuous—there was minimal narration-- and almost all of the dialogue was sung. All of this held together because of Aki Nakajima’s expert direction.
The sets were by Kelly Driscoll, who also managed everything backstage with finesse. We welcomed Cindy Hansen to the production for her contributions to costumes. Gareth Blake, Julie Bentley, Fumi Downing, Kelley Fast, Shigeyuki Iwabuchi, Glen Leadbetter, John Southworth, and Madoka Takai contributed to the production as well.
Now that we have finished the musical this year, even though the set has been dismantled and the costumes laundered, the songs rest in our heads fully formed and leave us with the vivid memory of our production.
【日本語意訳】
ミュージカルに取り組むのは大変おもしろいことです。1月に練習に開始したとき、ミュージカルは、一日中頭の中に響く、つながりのない断片的な音楽でした。その後、少しずつ、キャストが自分の方法で歌い始め、 ステージ上の動きとアイデアが具体化します。このようなキャストとクルーの努力によって、ミュージカルは現実的なものとなるのです。
今年の『Evita』は、私たちにとって少し変わった作品でした。というのも、私たちは小さな学校なので、演出の仕方にとても工夫が必要だったのです。通常、『Evita』の上演には、18名のオーケストラに、男性コーラス、女性コーラス、児童コーラス、ダンサーたちが必要とされます。KLASの才能豊かな生徒たちに合わせた演出をするために、エバ役を4つのパートに分け、エバの人生の各時代をそれぞれ演じることにしました。コーラスは、5曲を除くすべての曲を歌い、段ボールに人々を描いて、大勢の観客がいるような錯覚を起こさせるなど、大変な努力をしました。
最後には16名のキャストで壮大な雰囲気にすることができました。ステージはキャットウォークのように客席に突き出し、4人のエヴァは、ステージの上の狭い空間で、出番を待っているかのようにスタートしました。
コーラスは話の舞台となる社会的背景を表現する機能として演じました。そのため、衣装には特に気を遣いました。ステージ裏では、登場人物や場面ごとの衣装替えに関して4メートル以上もある計画表を利用し、連隊的な仕事をしました。中には15秒しかない衣装替えもありました。
ナレーションは最小限に、台詞はほとんど歌で表現し、音楽で繋ぎました。中島亜紀先生の手腕により、このような演出が可能となりました。
舞台セットはケリー・ドリスコル先生が担当し、舞台裏すべてを手際よく仕上げてくれました。衣装はシンディ・ハンセン先生が担当し、そのほか、ブレイク先生、ベントレー先生、ダウニング先生、ファスト先生、岩淵先生、リードベター先生、サウスワース先生、高井先生といった多くの先生も貢献してくれました。
今年のミュージカルを終えた今、セットは解体され、衣装はきれいに洗濯がなされましたが、音楽は頭の中に残り、私たちの制作の記憶を鮮明に残してくれています。
■愉快な仲間達と笑顔のミュージカル
12年生(高3)女子
今年は私にとって最後のミュージカルでした。三年間キャストとして参加した中で、一番楽しかったのは今年のミュージカルでした。そしてそれは、今回のミュージカルに関わってくれたすべての人々、その中でも特に今年のキャストのメンバーのおかげでした。
まず、最初は今年のミュージカルに出ないつもりでした。なぜなら、寮生活委員会、部活動や勉強、ソロ&アンサンブル音楽祭などで忙しい中、さらにミュージカルの練習で多大な時間を取られるのは無理だと思ったからです。そんな中、私が出ると決めたきっかけは下級生達からの声かけでした。もし彼らに、「一緒にやりませんか?」と言われなかったら、やらなかったかもしれません。そして後悔していたかもしれません。彼らのおかげで決意することができたので、声をかけて誘ってくれたことに本当に感謝しています。
キャストのメンバーが決まった時、今年三年目のキャストは私だけだったので、みんなを引っ張って、みんなで楽しめるミュージカルを絶対に作りたいと思いました。今回のミュージカル “EVITA”はセリフより歌が多く、歌は私が昔から習っている得意分野なので、できるだけみんなの力になりたいと思い、自分の歌う曲以外も練習しました。さらに、去年と一昨年の経験から、長い練習はとても疲れるし、疲れると楽しくなくなってきてしまうので、私の今年の目標は、いつもニコニコ明るく、みんなを楽しませることができる人でいることでした。
しかしターム4の途中は疲れが溜まり、体調を崩してしまった時期もありました。そんな時に、今年のキャストのメンバーそれぞれが、練習用の音源を全員に送ってくれたり、みんなが楽しめるように場を盛り上げてくれたり、その日の歌の注意点をメールで送ってくれるなど、たくさん協力してくれました。今年のキャストはみんなやる気があり、おかげで逆に私の方がたくさんの元気をもらい、一緒に練習を楽しむことができました。練習中のみんなの笑顔は私のエネルギー源でした。今年のミュージカルの成功は120%彼らのおかげです。
今回のミュージカルは、私にとって一生忘れられない大切な思い出になりました。今後、ミュージカルで舞台の上に立つことはないと思うので、この最後のミュージカルの舞台をかけがえのない仲間達と共に作ることができたことに感謝し、卒業後も自分の夢に向かって全力で頑張りたいと思います。
■目まぐるしい一週間
12年生(高3)女子
私は今回のミュージカルで、最初は、小道具の作成とバックステージのメンバーとして参加していました。しかし本番1週間前に迫ったとき、ステージマネージャーの人数が足りないからなって欲しいと頼まれました。去年はステージマネージャーをやっていたものの、今年はステージマネージャーとしての仕事は何もやってこなかったため、不安ではありましたが、自分が役に立てるならと思い、了承しました。そこからは怒涛の1週間でした。毎日通し稽古に行き、小道具や大道具を使う場所や着替えるタイミングを細かく確認しました。今回のミュージカルでは着替えが多く、早着替えもあったにも関わらず、本番1週間前になってもまだキャストがいつ着替えるのかわからないという状態でした。そこで、先生が作った着替えるタイミングの表を通し稽古の最終日に一人一人に確認してもらい、どの場所で着替えるかなどのメモをしました。その後、コスチュームのメンバーとキャストにそれをさらにまとめた表を送り、自分の担当のところを把握してもらいました。
月曜日、服の着替えを入れた練習を初めて行いました。みんな一生懸命に頑張りましたが、スムーズに着替えをすることはできませんでした。私はステージマネージャーに加え、エビータの着替えとバックステージも担当していたので、全てを把握するのは困難でした。そのため、エビータ以外のコスチュームは他の担当の人に任せるなど周りと協力しながらリハーサルに臨みました。月曜日にうまくできなかった着替えを火曜日の放課後にもう一度やってみるなどしてたくさん練習しました。火曜日はメイクも入れてのリハーサルで、私はメイクアップにも関わっていたので、キャストにメイクをしたあと、コスチューム、バックステージと忙しく動き回りました。最後に最終確認としてキャストに要望を聞いて、本番を迎えました。
私は金、土曜日に裏方として参加しました。裏方で働いていると緊張よりも楽しさが勝ち、時間があっという間に過ぎていきました。早着替えで大変なときは手が空いている人に頼み、手伝ってもらいながら精一杯力を尽くしました。ミスはあったものの、練習の成果もあり、無事に成功することができました。観ていた後輩や友達からすごく良かった、という声を聞き、頑張って良かったと心から思いました。
小道具作成、ステージマネージャー、バックステージ、コスチューム、メイクアップと5つの仕事をこなした日々は本当に辛くて大変でした。しかし、何にも変えがたい最高の思い出を得ることができました。私は今回ミュージカルに携われて、本当に良かったです。ありがとうございました!
■ミュージカルを終えて
10年生(高1)男子
私は今年のミュージカルでオーケストラに所属しました。最近のコロナ禍に於いて、ミュージカルのような大きなイベントは数少なく、私の同じ部屋の友人がミュージカルのキャストになるために毎日のように英語で歌を歌っていたので、興味のあったベースギターで参加させていただきました。
今回のミュージカルはEVITAという作品で、田舎の貧しい少女、エヴァがさまざまな男性を転々としながら、やがて将来大統領となるペロン大佐の夫人になるも、33歳の若さで癌により亡くなってしまいます。私はこのあらすじを読んでキャストとの練習に臨んだのですが、キャストの歌っている英語を理解するのは、初めはとても難しかったです。
オーケストラでは、場面の情景や登場人物の心情に合わせて曲調を変えなくてはなりません。また全28曲をベース奏者2人で分担したものの、相当な曲数で、難易度が高い曲もありました。私はベースの経験があまりなく、初めはとても苦しみました。だからこそ、温かく居心地の良い雰囲気を作ってくれたオーケストラのメンバーには本当に感謝しています。練習を重ねて余裕ができた時には他のオーケストラの方々もキャストの方々もまるでプロのように上達していて、主役のエヴァのセリフを聞いた時はその圧巻の演技に感動しました。
オーケストラという形で直接ミュージカルの制作に関わることになり、今まであまり意識していなかったクルーの存在をよく考えるようになりました。例えば、壇上に設置するセットの製作も1部見たのですが、大きなものから小さなものまで1つ1つがよくできていると感じました。また、曲によっては短時間で衣装替えをしなければならないところもあり、キャストの着替えをサポートしている方々がいたり、照明を調整して舞台をよりよく見せたりなど、クルーの方々が作り上げたものとオーケストラが作り上げたものでキャストを輝かせる、そんなミュージカルが練習を重ねるごとに出来上がってきて、とても楽しかったです。
このミュージカルには全校生徒の半分ほどがさまざまな形で関わっていました。私はこんなに大きな作品を素晴らしいメンバーとともに作ることができて嬉しいです。