3月に生徒たちは各家庭に帰り、4月1日からの春学期は遠隔学習になりました。慣れないことや不自由な生活のなかでも、生徒たちはそれぞれ課題に頑張って取り組んでくれています。2名の生徒にメッセージを書いてもらいました。
■ リモート授業が始まって
10年生(高1)女子
帰国が決まった時は、嬉しい気持ちと戸惑いの気持ちが交錯しました。ややホームシックになりかけていたのも重なり、帰国前の定期試験にもなかなか集中できませんでした。最終日は朝から大忙しでした。夜までかかって急いで帰る仕度をしました。これで12年生の先輩方と一緒に過ごす時間がもうないのかなと思うと、とても戸惑い、悲しくなりました。
日本に帰国して数週間は、春休みでしたが、休み気分になれず、毎日のようにKLAS生活でやりたかったことを考えていました。本来なら、仲間と一緒にボランティアトリップやヨーロッパ文化旅行に行けるはずが全て中止になり、とてもショックでした。
4月に入り、リモート授業が始まりました。最初は慣れることから始まりました。リモート授業で、私が気づいた問題点は次の通りでした。
1.全ての教科の課題が五月雨式に来るため、提出期限を守れるように管理する必要がありました。
2.課題の提出方法が各教科によって異なっていて、少し混乱しました。
3.課題を提出する際に、Google Classroomの私のフォルダに課題ファイルを提出するのですが、先生が受け取って確認いただいたかどうかが分からず、ある時、提出したにも関わらず、未提出者のリストに記載されていたことがありました。
こういったリモート授業の問題点を解決するために、私が考えた対策は次の通りです。
1.課題が来たその日のうちに取り掛かり、溜めないようにしています。また、提出期限ごとにリストを作り、提出漏れが起きないように注意しています。また、カレンダーアプリで提出期限を管理することも良い方法だと思いました。
2.課題のファイルをGoogle Classroomに提出をした後に、先生方に提出確認のメールを送るようにしました。これにより、課題を提出したことが、先生方に認識してもらえるようになりました。
3.提出するファイルに、課題ごとにファイル名を付け、さらに、日付をつけて提出することにしました。これにより、先生方が提出課題と提出日を確認しやすくなったことと、私自身も提出した課題内容を把握することができました。
新型コロナウイルスの影響が収まり、レザンに戻れたら、久々に会う仲間と尽きるまで、話したいです。また、コロナの大変さを乗り越えて、KLASに来てくれる新10年生に早く会いたいです。そして、新たに始まる11年生の生活を、生き生きと、楽しんで過ごしたいと思います。
■ KLAS生活最後の春学期(ターム5)
12年生(高3)女子
今年1月から世界中で猛威を振るわせ始めたCOVID-19により一時スイスを離れることとなってから早くも一ヶ月以上経ちました。今年は暖冬だったせいか日本では3月に桜が満開になり、私たち12年生にとって2年ぶりの桜となったわけなのですが、正直卒業を控えた私たちにとって最後のKLAS生活であった春学期をこのように仲間と離れ離れで過ごすこととなってしまったため、綺麗な桜も素直に喜べたものではありませんでした。
日本へ帰る間際、テストが終わり荷物の準備をしていく中で私たち12年生は大きな決断を迫られていました。どの12年生にも心のどこかではこれが最後のKLASで過ごす機会になるかもしれない、と信じたくなくても思うほかなく、中には代々先輩から後輩へ受け継がれている衣類や物品などを後輩へ渡している人もいました。これは本来であれば春学期最後の行事、ミッドナイトクモンや卒業式の日の夜にこっそりと同室の後輩に渡したりするものです。もちろん中には帰ってこられることを信じて、あとで受け取ると拒んだ後輩や、今回はまだ自分で保管しておいて帰ってきたときに渡そうとしている12年生もいます。これは私の勝手なイメージではありますが、長期休暇のたびにそわそわする生徒が多いKLAS生にとってこんなにも日本に帰りたくないと嘆くことはなかなかないと思います。
様々な思いを抱えたまま無事に日本に着いた時、親の顔を見たときどんなに安堵したことか。特に最後のグループの便で帰った私には不安なことが多く、たくさんの人に迷惑もかけ、そして助けてもらいました。こうやって無事に日本に帰るためにピリピリとひりつく空気の中でも力を貸してくださった方には感謝をしてもしきれません。このような人たちがいたからこそ、今私たちは日本で家族と一緒に暮らせているのだなと常々感じます。
そしてもう一つ、誰もが今苦戦しているのがこのリモート授業です。授業の内容自体は通常の春学期と何一つ変わっておらず、複雑な課題だとお手本を見せたりするのがどうしても難しいため、先生と生徒の間で解釈違いが起きたり、質問をしても先生から返事が返ってくるのに時間がかかり、時差の関係で宿題に取り掛かる時間が少なくなってしまったりします。平日でも休日でも御構い無しに提出期限が設定されているので、毎日忙しいですし、最近は朝にパソコンを開いてメールボックスを見ることが少しだけ恐怖だったりもします。というのも、私たちが寝る時間はスイスの夕方なので、先生方が余裕を持って課題を提示できる時間だからです。私たち生徒にとっては余裕をもって課題に朝から取り組めるのでありがたいことではあるのですが、毎朝10件以上のメールが溜まっているので、確認するのに一苦労ですし、スケジュールを管理するのも学校にいた時より一層難しくなっているように感じます。安易に外に出ることができない今、体も心もたるんでいるのが目に見えて、生活リズムを保つので精一杯です。
本来であれば、きっとヨーロッパ文化旅行で経験した様々な思い出が綴られていたであろうこの時期ですが、今年はこのような事態になってしまい、生徒からでも読み取れるほど先生方も初めての経験に焦りと驚きを隠せないでいるのがよくわかります。ですが、提出期限を日本時間に合わせてくださったり、システム上の不具合が多い中でも模索を続けながら臨機応変に対応してくださる先生方を見て、本当に私たち生徒はたくさんの良い先生方に支えられているのだなと感じています。ストレスが溜まる時期ではありますが気を緩めず、全員でスイスへ帰れるように、そして新しい10年生が無事スイスへと渡れるように日々一人一人が注意しなければいけないのだなと肌で感じているのも事実です。生徒も先生もそしてきっと保護者の皆さんも、心配なのはみんな一緒です。今こそ一丸となって私たち全員で健康にこの局面を乗り切りましょう。