ブログ

ミュージカル Elephant & Piggie's “We Are in a Play” を終えて

担当:Walter Doyle

【日本語意訳(原文は英語)】

ミュージカルの最終公演後、出演した生徒と教職員全員で、ホールにてささやかな打ち上げパーティーを行いました。軽食を囲みながら、共に舞台を創り上げた仲間たちとその達成を祝う場です。このパーティーはミュージカル公演の締めくくりであり、成功の裏にどれほど多くの人の協力があったかを実感するひとときでもあります。ホールには生徒たちの話し声があふれ、カウボーイハットやリスの耳など、小道具の一部が現実世界に飛び出してくるような、賑やかな場面が広がっていました。

毎年秋になると、その年の生徒たちにどんな演目が合うかを考え、最適と思われる作品を選びます。そして何週間にもわたる稽古ののち、こうして生徒たちが笑顔で語り合い、踊り、互いの存在を楽しんでいる姿を見ると、本当にやってよかったと心から思います。今年の演目”Elephant and Piggie’s: We Are in a Play”は、観客を楽しませ、生徒たちに挑戦の場を与えてくれる、まさに理想的な作品でした。

外から見ている人には、この舞台がアイデアの段階から、生徒たちが堂々と観客の前に立つまでに短期間で仕上がっていく様子は、なかなか想像がつかないものです。セリフの暗記、ダンス、音楽のきっかけなど、稽古の過程では多くの学びがあります。中島先生は、この公演のためにクラリネットの演奏まで習得されました。

舞台を創り上げた生徒たちの姿を見ると、改めて「人が協力し合えば、こんなにも素晴らしいものができるのだ」と強く感じます。

観客の皆さんは満面の笑みで会場を後にされました。ある方は「笑いが止まらない」と困った様子でおっしゃっていたほどです。今年の公演はとにかく可愛らしく、子どもから大人まで楽しんでいただけました。
この舞台が成功したのは、何十人もの人々による献身的なチームワークのおかげです。打ち上げもまた、舞台と同じく、協力の精神を表す、かけがえのない一瞬でした。



■Bring on the Real World
12年生(高3)女子

「ミュージカル、参加してほんまによかった。」
KLASでの3年間のミュージカル経験を終えた今の私の一番の思いです。

私のミュージカルライフの始まりは2022年11月4日金曜日、その年の初雪の日でした。この日のキャストオーディションで、圧倒的歌唱力と演技力を持つ先輩方に私は憧れを抱きました。彼らと一緒にステージに立てることがとても嬉しかったのですが、その反面、大きなプレッシャーを感じていました。ステージに立ってしまえば、10年生だからというのは実力の低さの理由にならないとわかっていたからです。そんなプレッシャーを抱え、とにかく泣き虫な私が最初に涙を流したのは、歌唱指導の先生との個人練習でした。自分なりに準備して行ったにも関わらず、いざ人前でとなると全く歌えず、劣等感の中で45分間が絶望に終わりました。キャストに選んでもらったにも関わらず、自信が持てないし、どうすればよいかも分からずに涙を流している自分は心底情けなく、恥ずかしかったです。その時私が感じたことは、「頑張ったのに」というのは大間違いで、頑張りが全然足りなかっただけという発見でした。そしてこの発見こそが、結果的に私の3年間を支えてくれたのです。どれだけ自主練習を重ねるかが、パフォーマンスの向上へとつながりました。当時、11人のキャストの先輩方にはたくさん支えられ、私のミュージカルへの意識も高められた貴重な経験でした。

そして11年生で初めて主役を演じた時には、大事な立場を担っているという責任感があったにも関わらず、演技指導の先生とどれだけ練習しても思うような演技ができず、悩みに悩みました。それを原因に自信をなくしたこともありましたが、同時に自分の実力の無さに計り知れない悔しさを覚え、それが自主練習へのモチベーションとなったのです。そうして弱っていた自分自身を奮い立たせ、さらなる修行に挑みました。アドリブを含んだミュージカル本番は10年生の時とはまた違って、経験者としての緊張感が強かったけれど、何より観客の皆さんに観てもらえることにとてもワクワクしていたことを覚えています。ここで2年間ともに演じてきた偉大な先輩との最後のショーも終わり、不安が大きかったのですが、最後にみんなで手を繋いでお辞儀をする際に、来年もこの場所からこの景色が見たいと思いました。そして来年もキャストに挑戦して私がチームを引っ張っていこうと決断しました。

こうして迎えた最後の年。私は11年生の子とダブル主演を務めました。キャスト歴3年目の私はかつての先輩方を思い出しながら、自分だけでなく、他のみんなの演技の観察とアドバイスにも力を入れました。この時には、自主的な練習がどのくらい必要かが把握できていて、3年目にしてやっと慣れてきた自分には正直感動してしまいました。そして歌唱指導の先生との練習では自信満々で歌えている自分に気がつきました。いつも涙を必死に堪えながら練習に通っていた私が、練習で褒められることが増えたのです。その他、自分が演じたいままの、納得のいく演技ができている自分に出会えました。頑張れば頑張るだけ、将来の自分を支えることになると実感できた瞬間でした。

本番当日、私は直前まで実感が湧きませんでした。本番の日がやってきたことを信じたくなかったのかもしれません。10年生から12年生まで、怒涛のスケジュールの中でも一度も嫌だと感じなかった大好きなミュージカル練習が終わってしまうことは、私にとって大いなる喪失感でした。3年間、毎年異なった素敵な個性のあるキャストチームと全力で作り上げてきたミュージカルがついに終わってしまう。これを受け入れることはとても難しく辛かったですが、何一つ後悔を残さず実力を出し切ることをみんなと約束し、4月26日土曜日、私は胸を張って最後のステージに立ちました。そして1時間10分間、ゾウとして思うがままに自分のできる精一杯の演技をしました。演技中はこれまでの3つのミュージカルの光景を思い浮かべ、本当にいろんなことがあったなあと思い出に浸りながら、これで全て終わってしまうのかと少し寂しかったです。また、思い返せば本当にたくさんの方々が今まで笑顔で見守ってくださったなと感謝の気持ちで胸が熱くなりました。そうして一分一秒を楽しみきって、私のミュージカル人生が幕を閉じました。

3年間のミュージカル経験は私を成長させてくれました。小さくて弱かった自分から、ステージ上で笑ったり悲しんだり暴れたりすることを演技として自信を持って楽しめるようになったことを嬉しく思っています。大好きなミュージカルと向き合って、観客の皆さんにエンターテイメントを届けられるこのステージはまさに夢の舞台でした。改めて、このような素晴らしい経験をさせていただいたことに心から感謝したいです。また、一緒に走り続けてくれたキャスト、オーケストラと、ずっと応援してくれていた家族をはじめ、先生方や関係者など支えてくれた全ての方々に感謝申し上げます。今後もKLASのミュージカルの魅力が多くの人々に届くことを願っています。最高の思い出をありがとうございました。