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ミュージカル“Just So”を終えて

4月、英語力の向上を目的とした24回目の英語ミュージカルが上演されました。
このミュージカルはラドヤード・キップリングの“Just So Stories”がベースとなっており、これはキップリングの有名な“The Jungle Book”の姉妹作でもあります。ヒョウはなぜヒョウ柄模様になったのか、 象の鼻がどうしてあのように長くなったのか、サイはなぜだぶだぶの皮をまとっているのか、といった ことが舞台で語られています。

経験豊富な先生方の指導のもと、セリフや歌は全て英語、役者やオーケストラはもちろん照明や音響などの裏方の仕事も生徒たちでやり遂げました。
担当した先生と参加した生徒のコメントをご紹介します。

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■ミュージカル“Just So”を終えて
ウォルター・ドイル


This year’s musical was ambitious and thoroughly enjoyable. This year, the stage was against one wall with the audience surrounding the stage like an amphitheater. It told the story of the Elephant Child through song and dance, as expected, but also through shadow puppetry, giant crabs and magic.

For the most part, the students were playing roles for the first time. Many had graduated from the ensemble in “In the Heights” or “Lucky Stiff” and now shouldered the responsibility of the lead roles.

The show featured a full 11-piece orchestra directed by Ms. Nakajima with students assisting with the conducting.

The costumes introduced stylized animals and were coordinated by Ms. Gotterson. The characters ranged from a fashion-forward giraffe to a herd of boring wildebeest to an ensemble that had to be able to transform from ordinary to extraordinary in the blink of an eye.

The sets and props required an immense amount of work to look simple and still be effective. Ms. Driscoll organized all this and created a Giant Crab that towered over the audience, and ladders that transformed from trees to a boat before your eyes. The effect was magical. A student designed and created exquisite shadow puppets to tell the story of how the Kangaroo came to be.

The result of the efforts of so many people was that the show was enchanting on many levels.


【日本語意訳】

今年のミュージカルは 野心的で本当に楽しかったです。今年はホールの壁側をステージとし、円形劇場のように ステージが観客に囲まれました。歌や踊りだけではなく、影絵や巨大なカニ、マジックなどの演出によって象の子供が物語を語りました。


ほとんどの生徒が初めて役を演じました。 "In the Heights"(2016年KLASミュージカル)や "Lucky Stiff"(2017年KLASミュージカル)のアンサンブルを務めた多くの生徒が今年は責任ある主役を演じました。
音楽は生徒たちのアシスタントのもとで中島先生が指揮をとり、11人のメンバーによるオーケストラが担当しました。


衣装についてはゴッターソン先生が動物のスタイルをコーディネートしました。登場する役は流行のファッションをまとうキリンからのヌーの群れに至るまでさまざまなものがあり、また、非常に短い間に衣装を着替えなければなりませんでした。


ドリスコル先生が指揮し、膨大な量の作業を要した舞台セット・小道具は、見た目は単純ながら、効果的でした。観客席の間を歩きまわる巨大なカニを作り、また梯子は観客の目の前で木からボートに変わったりしました。それは魔法のようでした。また、ある生徒はカンガルーがどのようになったかを伝えるパートで絶妙な影絵をデザイン・製作しました。


多くの人々の努力の結果、今年のミュージカルも非常に魅惑的なものになりました。


■ミュージカルを終えて
11年生(高2)男子


KLASのミュージカルは、アクター(演者)、サウンドエフェクト(音響)、ライト、メイクアップ、ステージマネージメント、舞台設置、そしてオーケストラなどの全ての仕事を生徒たちが何人かの先生たちと共に担い、一つの演劇を作っていくものです。僕は去年も音響として活動しており、ミュージカルというものが一体どういうものなのか一応は分かっているつもりでした。しかし今年、オーケストラのドラムとして関わってみると全く違う一面を見ることができました。
 

ミュージカルはターム5にあるのですが、オーケストラとアクターたちはターム4から練習が始まります。それぞれどのパートを弾かなければいけないのか、それぞれの楽器の音量調節、アクターとの掛け合い。それぞれを1から始めていきます。今年のオーケストラは去年とは違い、とても少人数になりました。たったの11人です。そのうち12年生は6人。来年は一体どうなってしまうのだろうと不安になりながらも練習を続けました。初めは一週間に一回、そしてだんだんと練習が毎日入るようになり、学校全体がミュージカル一色で染まっていきました。やはり ミュージカルを成功させたいという気持ちが全員にあるからか、毎日ある練習も皆努力しながら頑張っていました。
 

ミュージカル本番の一日目には僕自身あまり緊張感を感じていませんでした。他の人たちは感じていたらしいのですが、やはり僕が一度もオーケストラを経験していないからだと思います。一日目は特に目立ったミスもなく進んでいきました。が、しかし、二日目の時に事件が起きました。ミュージカルの中で一番楽しげな Parseeが主役の曲の際、片方のドラムスティックを落としてしまいました。とっさに何を考えたのか、スネアドラムをもう片方の手で叩くという対応をして、曲自体には支障は出ませんでした。他のオーケストラのメンバーにはとても褒められましたが、こでまでのKLASでの生活の中で最高に心臓が跳ね上がった瞬間でした。やはり油断大敵という四字熟語があるように調子に乗りすぎると大きなミスをしてしまうのだな、と思いました。三日目は気を引き締め、一つのミスもなくスティックも落とさず完璧に叩ききることができました。
 

演奏が終わった後は、長い間練習したことに対する達成感とKLASの一大イベントが終わってしまったという喪失感が同時に押し寄せてきました。やはりミュージカルは僕にとってとても大きな存在です。来年もオーケストラとしてドラムを叩きたいと思います。



■KLAS一番の思い出
12年生(高3)男子


KLASで過ごした三年間で一番印象に残っていることは何?」そんな質問をされたら、僕は迷わず「ミュージカルです」と答えるでしょう。今年のミュージカルだけではありません。三年間の三つのミュージカル、そのどれもが僕に様々なものを与え、成長させてくれました。

10年生の時、コーラスとして参加したミュージカルではわからないことだらけで辛いこともありましたが、かっこいい先輩達の背中に引っ張られながら、何よりも歌うことの楽しさや舞台に立つことの気持ち良さを知りました。やる気満々で臨んだ翌年のミュージカルオーディションでしたが、なんと結果は不合格。本当に本当に悔しかったです。しかし、観客席で見るミュージカルはやはり素晴らしいものでした。

次こそはオーディションに合格して大役を勝ち取ってやる、そんな強い思いが僕の中で生まれていたのだと思います。そして今年のミュージカル、“Just So”ではありがたいことに、メインキャストの一人であるEldest Magicianという役をいただくことができました。とても驚きましたが、それと同時に、リベンジを果たせた嬉しさと大役を任されたプレッシャーで、自分でもよくわからない気持ちになったのを覚えています。

案の定、膨大な量のセリフや歌詞、そしてもともと苦手なダンスや演技にはとても苦労しました。それでも、どれだけ練習が大変でも、大好きな歌を思い切り歌えることにこの上ない喜びを感じていましたし、ほかのキャストの歌を間近で聞くことができるのも密かな楽しみでした。ミュージカルが終わった今、練習の日々や本番の三日間を振り返ると、懐かしさとともにそれらを失ったことによる寂しさや喪失感も感じるほど、ミュージカルの時間が大好きでした。
 

そして、今年のミュージカルでは、10年生の頃には見えていなかったものがあることに気づくことができました。それは、僕の周りでミュージカルを成功させるために尽力してくれた多くの人たちのことです。 ミュージカルには沢山の人が関わっていて、その中の一人でも欠けてしまっては成功しないことを実感しました。サンクスカードだけでは足りないほど彼らには感謝してもしきれません。一人一人が自分の役割を楽しみながら、時には大変な思いをしながらもこなしていき、一つの素晴らしいものを作る。なんと良いものでしょう。”Just So”に関わってくれたすべての方々、心からありがとうございました。