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オープンハウス(文化祭)

4年ぶりに実施された本校の「オープンハウス」の様子をご紹介します。 日本の高校でいえば文化祭にあたる行事ですが、本校でのオープンハウスの特徴は、いわば「日本文化祭」の様相を呈します。日本食、書道や茶道、和装などの日本文化を、生徒が中心になって地域に発信する催しです。



日本文化に触れられる貴重な機会として、伝統ある本校のオープンハウスを楽しみにしている人は、地元レザンの人たちはもちろんですが、村の外にもかなりいらっしゃるようです。
当日は、久しぶりの実施にもかかわらず、263 名ものお客様をお迎えすることができました。ジュネーヴやベルンなど、かなり遠方から来訪された方もいらっしゃいましたし、さらに驚かされたのは、スイス国外からも、なんと7か国から足を運んでくださった方がいらしたということでした。
今回は、オープンハウスの各セクションから、それぞれのセクションの活動の様子を紹介してもらいます。


■餅つき
10 年生(高 1)女子

私は、オープンハウスで餅つきのセクションでした。私は、お餅つきをすること自体が初めてだったこともあり、楽しみが半分と、不安に思う気持ちが半分といった気持ちでした。
前日には、事前準備として、全部で6kg ある餅米をしっかりと洗いました。

お餅はいろんな味を楽しんでいただけるように、みたらし、きな粉、そして餡子の3種類の味付けで提供することにしました。きな粉と餡子は、日本から持ってきたものを使いましたが、みたらしは材料を集め、レシピをもとに自分たちで作りました。日本から持ってきた餡子ときな粉が足りなくなっても大丈夫なように、みたらしをたくさん用意しておきました。
そして、お餅を喉につまらせないようにという注意喚起と、アレルギーについて説明したポスターを貼っておきました。

オープンハウス当日には、思ったよりたくさんの人が来てくれました。何回もお餅を食べに来ている人もいましたし、また、KLAS 生にも好評でした。



餅つきのセクションでは、シフト以外にも参加できる時には全員で手伝いながらお餅をつきました。おかげでスムーズに取り分けや味付けをすることができました。

お餅つきのパフォーマンスをした時に、来場者のみなさんもお餅つき体験ができるような時間を設けました。たくさんの人が体験に参加してくれて、みんな楽しそうにしていたので、良い思い出になっていたらいいなと思います。一方で、思ったよりも餅つきのパフォーマンスが早く終わり、時間が余ってしまったので、来年度以降に行うときは、回数などを見直してもいいかもしれないと感じました。

全体的には、とても楽しく満足することができたのでよかったです。


■着付け
10 年生(高 1)女子

オープンハウス。KLAS に足を運ぶだけで、日本文化に触れることができるというかなり大きな行事です。私はその中で「着付けセクション」を担当しました。お客様に着物を着ていただき、撮った写真の現像が無償でできるサービスです。

最初の準備の時、「着付けセクション」では、部屋の飾り付けのために折り鶴をたくさんつくらなければいけなくて、不器用コンテストで確実に1位を取れてしまうレベルで折り紙のスキルがない私は、正直、隣でスイスイ折り鶴を作って楽しそうにしている友人たちを見て悔しく思っていました。それと同時に、このセクションでうまくやっていけるのか、むしろここでお荷物になってしまうのではないかと、拙い折り鶴を折りながら考えていました。



しかしその一方で、今回私は、オープンハウス全体のポスターの制作に携わることができたため、先生たちにその評判が広まり、着付けセクションのポスターも作成してほしいという依頼をいただきました。完成したポスターをお見せしたところ、先輩たちに褒めてもらえて、心の底から、頑張ってよかったなと思えました。


同じセクションの先輩たちは場を盛り上げるのがうまく、ネガティブになるような言葉遣いを一切しない方々ばかりだったので、人見知りの私でも過ごしやすいような空間を作ってくれました。私が忙しくて手が回らない時もさっと手を差し伸べてくれたり、面白いお話を聞かせてもらえたりして、準備期間中にも楽しい時間を共有してくれました。

着付けセクションは、来場者一人一人にフランス語や英語で対応する必要があったり、また想定以上に年齢の低いお客様が多く、背丈に合う浴衣が足りない事態に陥ってしまったりなど、本当に忙しかったのですが、私があるお客さんの撮影をしたときに、そのお客さんが友人に「また来たいね」と笑顔で言っているのを見て、やりがいを感じることができました。

オープンハウスが終わり片付けも終えた頃、空っぽになった教室を眺めながら、私は準備期間から今日までのことを思い返しながら心の中で呟きました。このセクションでできることは全部頑張れたのかもしれないな、たくさんお仕事ができて本当に楽しかったな。ヘンテコな折り鶴を折っていた時私が抱えていた不安は、オープンハウスが終わる頃には自信に変わって心に留まりました。(画像は私の描いたポスターです!)


■ステージマネージメント
10 年生(高 1)男子

エンターテイメントを楽しむことよりも、それを創り上げることの方が好きであり楽しめる性格である私にとって、オープンハウスの催し物の一つであるステージマフォーマンスを支えるステージマネージメントセクションに入れたことは、光栄なことでした。

全体的な仕事内容としては、本番までにパフォーマンスとステージの準備をし、本番での司会やステージ上の管理を務めるというもので、一般的なステージパフォーマンスのそれと一緒であると思います。オープンハウス当日までの個人の仕事内容は、オーケストラや楽器の演奏団のパフォーマンスの時に、ステージの後方に置いたスクリーンで流す動画を作るというものでした。動画は、「鬼滅の刃」や「ハウルの動く城」などのアニメ、映画から一部分ずつを切り取り、トレイラー(予告編)のようにしたもので、アニメ・動画作りが大好きな私にとっては、セクションの仕事というよりもはや趣味の領域で楽しむことができました。

当日の仕事内容は主に英語での司会を担当しました。ステージに立つ前はたくさん発音の練習をして、自信もあったはずなのですが、いざ本番の司会としてステージに立つと、思ったよりも多いお客様の数に圧倒されたからでしょうか、台本を読み始めた途端に手と声に自我が宿って震え出したのです。頭の中は終始「うわーー」という感じで、感情などまったく込める余裕はなく、ただひたすら文字を読み上げるだけになっていました。覚えていることと言ったら、このくらいです。

感想を一言で言うならば、準備から本番まで全部引っくるめて、とても楽しかったです。自分なりに自発的に行動できたと思います。来年もステージマネージメントに入れたら、学校に爆発を起こすほどの勢いで、派手な演出にしたいと企んでいます。


■茶道
11 年生(高 2)女子

2020 年にパンデミックが起きて以来、ついに KLAS にオープンハウスが戻ってきました。このこと自体はとても喜ばしい知らせですが、これはつまり、在校生の誰もオープンハウスを経験したことがないということを意味します。誰も当日の雰囲気を知らないため、全KLAS 生にとって初めてのオープンハウスの準備は、手探りで始まりましたが、皆、知らないながらに事前準備や予行練習を頑張り、この学校に入学して初めてとも言えるレザンの人々との本格的な交流を、とても楽しみにワクワクしながら待っていました。

私は茶道セクションに所属していて、そこでは教室に畳や雛人形を運び込み、来ていただいた方にお抹茶と和三盆でおもてなしするということをしました。準備段階では、「畳では靴を脱いでください」「お茶を飲む前に和三盆を食べてください」というような文章をフランス語で言えるように練習したり、足が不自由な方がいらっしゃった場合の想定、プロジェクターに映す抹茶のたてかたの説明動画を探したりしました。

そうして迎えた当日は、想像していた以上の大盛況に、驚きと嬉しさがありました。正直なところ、私は茶道にはそこまで人気がないだろうと思っていたのです。ですが、そんな予想を軽々と飛び越え、目の回るような忙しさが私たちを襲いました。一時は教室に敷き詰めた畳のスペースいっぱいにお客さんが座っていたこともありました。慣れないフランス語や英語での説明を興味津々に聞いてくださったのが、とてもありがたかったです。

一番印象に残ったこと、それは茶道セクションが会場を埋め尽くすほどの観客の前で行ったお手前のデモンストレーションです。そのデモンストレーションは 10 分ほどかかるものだったのですが、観客の方々が静かに集中して見てくださっていたのを覚えています。それと同時に、こんなにも抹茶の点て方や作法に興味を持っている人がいるのだと大きな感銘を受けました。

予想外のこともたくさん起き、反省点や改善点がたくさん見つかった今年のオープンハウスでしたが、日本文化に興味のある人々やレザンの人々との交流は、めったにない貴重な経験でした。来年も茶道セクションの一員として、オープンハウスに貢献したいと考えています。


■レストラン
11 年生(高 2)女子

在校生が誰も経験したことのないオープンハウス。皆、手探りで準備をしました。

私はレストラン担当でしたが、飾り付けや動線の確認、どうしたら効率が良いのか、生徒が意見を出し合いながら、1日限りのお店を創っていきました。

前日の準備の時には、自分達が交代でお客様役をやり、実際にお客様目線に立ってみての改善を重ねていきました。しかし、これでも準備不足だったと当日になって身に染みて痛感しました。オープンハウスを完全になめていたのです。



やっと迎えたオープンハウス当日、最初にお見えになったお客様にみんなで「いらっしゃいませ!」と大きな声で挨拶しましたが、そこからの怒涛の多忙さに私たちは息をつくまもなく、カフェテリ内を駆け回ることとなったのです。私は度々ミスをしてしまい、先輩から何度も注意されてしまいました。お客様に箸やお茶を出し忘れたり、デザートが来てないと言われたり、お味噌汁をお客様の前でこぼしてしまったりと、失敗は数え切れません。しかし、なんとか必死に食らいついているうちに、少しずつ、多忙さを楽しめるようになってきました。

私が学んだことは、お客様に寄り添う姿勢を示すことの大切さです。私は来店してくださった方に「Thank you for coming!」と言うように心がけました。すると必ず、お客様は笑顔になってくれます。私はどうしてもその笑顔が見たいと思い、自分からお茶を注ぎに回ったり、お客様のご要望を尋ねたりして、お客様のことを考えての行動が自発的にできるようになっていました。これは他のメンバーもそうです。

私は今回のオープンハウスで貴重な体験をさせてもらえました。たくさんの反省点も見つけられ、悔しいと思うこともありますが、そう思えることが少しは成長することができた証拠なのではないかと思っています。