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春休みオプショナルトリップ




春休み、パンデミック後初めて、スイス国外へのオプショナルトリップを実施しました。旅行地はヨルダン、スペイン(マラガ)、セルビア(ベオグラード)です。生徒がトリップ内容とともに感じたことを書いてくれましたのでご覧ください。

■ ヨルダン 12年生(高3)男子

春休みに私含む約三分の一の生徒は中東に位置するヨルダンを訪れました。日本とヨルダンの大きな違いは店の前に人が必ず立っていて「ようこそ!」と絶対に一言声をかけて購入を勧めてくる習慣が存在することかなと思いました。ヨルダンで使用されている通貨の名称はヨルダン・ディナールといい、ヨルダンへ到着するまで物価の心配していたのですが、実際にヨルダンの店で水の値段を確認してみると水一本あたり0.5ヨルダンディナール(1ヨルダン・ディナール約190円)で、物価は日本とさほど差がないことを知り安心しました。

ヨルダンでの食事は、私の好みに合う料理が多かったです。一番好きな料理はピタパンというナンのようなパンにひよこ豆のペーストや少し辛味のあるペーストをのせて一緒に食べる料理です。私はヨルダン滞在中にこのピタパンが大好きになってしまったのでKLASに帰ったあと1人でピタパンを作って食べました。とてもシンプルに作れるのでぜひ調べて作ってみてください。

ヨルダンでは砂漠を訪れました。まず、視界全体の色が砂の茶色と空の青の二色しかない世界にいることが不思議でした。そこではラクダに乗る体験をしました。ラクダは馬より背が高く、不安だったのですが、思ったより安定していて座り心地が良かったです。さらに、未だ謎が多いペトラ遺跡を訪れました。この遺跡ではたくさん歩き、数多くの階段を登りました。

そして、最後に一番記憶に残っている思い出では死海での浮遊体験です。当日、実は足に切り傷を負った状態で死海に入水してしまいました。それはもう普通の水とは比べものならないほど切り傷に沁みて痛かったです。塩分濃度が約30%もある死海の浮力はとても強く、試行錯誤をして沈もうと試したのですが何をしても体が浮いてしまいました。試行錯誤している最中に跳ねた水が少量私の目に入った時はもう失明を覚悟するほど痛かったです。しかし、そのあと現地のおじいさんが死海の水で顔を洗っているのを見たときは驚きを超えて大爆笑しました。ここでは伝えきれないほどの貴重な思い出や体験を写真に残しました。


■スペインの憧憬と観取
11年生(高2)女子

私は去年の8月にスペインに興味を持ち、スペインに行ったときにスペイン語で会話ができるように、Duolingo(デュオリンゴ)という学習アプリケーションや単語帳等を利用し、スペイン語習得に務めていました。11年生が終わって12年生になる前の夏休みにスペインでホームステイする予定をしていましたが、春休みのスペインのマラガへのトリップの情報が発表されたとき、すぐさま参加することを決意しました。

スペイン語はある程度学んでいるので少しは話せるだろうという気持ちでマラガへ向かいましたが、実際は使い慣れていないこともあり、緊張しただけではなく、食べ物の名前など知らないものや、単語帳の付属CDとは違った発音など、私がKLASに来たばかりの頃を思い出し、自分の未熟さを認めより精進しようと決心しました。

前述したように、私はスペインに興味を持ってからというものスペインの人々の気質や文化等にのめり込み、インターネットサイトや本を使ってスペインのことを調べました。地域によって差はあるとはいえど、インターネットサイトや本で得た情報とは大幅に異なるところがあるということを体感しました。インターネットサイトには「スペイン人は時間にルーズなところがある」と記述されているのを度々目にしました。滞在期間が短かったこともあるとは思いますが、私は目立ってそのようなことは感じられませんでした。また、ガイドさんがスペインの方だったため、今まで知らなかったスラングや世界遺産、文化の詳細を知れて非常に興味深かったです。普段は口にできない新鮮な海産物、特産のオリーブオイルや生ハム、イスラム文化の影響を強く受けた街並みはスイスや周辺諸国と同じヨーロッパとはいえど、異質なものを感じました。

スペインの人たちは私の拙いスペイン語に対してもにこやかに優しく対応してくれ、スペインのことがより好きになりました。インターネットや私の想像していたスペインと大きな大差はありませんでしたが、それでも固定概念的なものと異なるものを発見できました。私はスペインの人たちの楽観的でおおらかで明るい性格を特に気に入っています。これは個人的な感想ですが、日が沈みかけた時に白い壁を染める情熱的な紅色やどこまでも続く爽快さを感じさせる孔雀色の地中海、黄金色の小麦等の作物がスペインの人々にこのような性格を与えたのだと身をもって実感しました。

最後に、私は今年の夏休みまたスペインのバルセロナに向かいます。また違ったものが私のことを待っていると考えると胸の高鳴りが抑えられません。


■Leading World is Trust!
10年生(高1)女子

ベオグラードに着いて目に入ってきたのは数多くのNATOの空爆の跡。むき出しになった廃墟と、とってつけたような新しいビルが混在し、つぎはぎで時間が止まっているようだ。至る所にあるセルビアの国旗や女性兵士の看板を見て、日本とは異なった文化を感じた。中心街では銀座のような店が所狭しと並んだ大通りに入るが、一方で富裕層の住宅街が他の住宅街と別れていたり、ホームレスの人がお金をねだってきたりなど、貧富の格差を身にしみて感じた。

不安を感じる中、訪れたJICA(独立行政法人国際協力機構)バルカン事務所。職員の方々から説明を聞く中でLeading world is trustという言葉が出てきた。私は違和感を覚えた。「信頼で世界を導く」。「信頼」が世界を導けるのか。セルビアはEU加盟を目指し、タバコによる街の環境問題や地球環境に配慮した火力発電など、解決しなければならない問題が山ほどある。それに対して「信頼」とは生半可ではないのかと思った。

どうやって言語が通じないセルビアで信頼を得るのか。職員の方に聞いてみた。それは態度だったり、期限を守る、偏見を捨てる、見た目で判断しないなどのとても簡単なことだった。とても素晴らしく、美しい考えだと思った。言語に関係なく、行動で相手に示し信頼を得る考えはとても日本人らしいと思った。セルビアのあらゆる問題を解決することは信じられないほどの労力を注ぎ、時間がかけられ、並大抵の人ができることではない。しかし、実行されたことは必ず誰かの心にとどまり、誰かを幸せにし、誰かを救う。新しい世界をつくる、先頭にたち、世界を導く、一番近い場所で職員の方々は働いていた。

現地の学校訪問では改めて国の壁はないことを思い知った。文化や言語、住んでいる国は異なり、考え方や価値観も異なるが、探究心や好奇心は私たちと同じであり、彼らも間違いなく高校生だった。日本の漫画の話やKPOP、日本の食べ物の話は尽きることなく、あっという間に時間は流れていった。彼らと撮った写真は今でも机に貼ってある。帰る際に彼らといつかまた日本で会う約束をし、別れた。最初は不安だったセルビアも帰る際には帰りたくないと心から思うほどセルビアが好きになっていた。私はセルビアという国をもっともっとたくさんの人に知ってほしい。私はこの強い思いを胸にスイスでの一日一日を意味のあるものにしていきたい。