秋学期の活動
秋学期は、アルプスの山々でアウトドア活動を体験するセプテンバートリップ、レッド、ブルー、イエローの3チームに分かれて勝利を競い合う「クモリンピック」(体育祭)、来春27回目を迎える英語ミュージカルのオーディション等が行われました。生徒の感想や、担当教員の報告を紹介します。
■Glacierに行って
11年生(高2)男子
去年のセプテンバートリップが終わった頃、次回はGlacier(氷河)トリップに行くことを決めていた。理由は至って単純だ。普段と変わった体験がしたい、ただそれだけだった。
ではなぜ普段と変わった体験をするのにGlacierに行く必要があるのか。僕はその理由は雪山に登る緊張感にあると思う。クレパスに落ちる、落石、雪崩等、雪山で死を連想させるものを挙げれば本当にキリがなくなってしまう。しかし普段のKLASでの生活と比べてここまで差異のある経験はなかなかできるものではない。このようなリスクとメリットを比較してもやはり普段と違った経験がしたいと即断した。また、普段から運動をしていて体力の懸念がなかったのも大きかったと思う。
実際に到着し、麓から乗って上ってきたテレキャビンから出ると気温がいきなり下がり驚いた。そして何よりあたり一面真っ白なのだ。1日目は思っていたよりも疲れなかった、加えてロープで前後の人と繋がれていて恐怖心が軽減したので足がすくむこともなく、順調に宿泊先の山小屋に到着した。ご飯は美味しいとは言えなかったが、夕食後に見た夕焼けと陽が落ちた後の星空は本当に絶景だった。そして山小屋の寝床も男子は貸し切っていたため窮屈な思いもしなかった。
しかし本当に厳しくなるのは翌日の2日目であった。前日の疲労に加えてGlacierの中でもおそらく一番険しいルートを通り山頂を目指した。登りは精神的にも肉体的にもまだなんとかなったが下は雪が岩に積もっていてとにかく滑らないようにみんな慎重だった。
このように確かにたくさん大変な思いをしたが、行って後悔したことを挙げろと言われればあまり無く、良かったことを言えといえば数え切れないくらい楽しかった。それにこれから先も僕の貴重な思い出の一つであり続けるだろう。
■11年生の仕事
11年生(高2)男子
クモリンピックとは日本だと体育祭のようなもので、KLASでは赤、青、黄色の三色に別れて競い合うので、とても盛り上がる毎年恒例のイベントの一つとなっています。加えて、学年を超えて関わることができるので、他学年の人と仲を深められる良い機会となっています。
去年、私が10年生の頃、私はとても楽しいクモリンピックを経験することができました。しかし、その頃の私はただダンスの練習をしているだけでした。それなのになぜ、時間を忘れるほどクモリンピック楽しむことができたのか、11年生になって考えてみました。今思うと、私は当時の12年生、11年生の方々がチームの雰囲気を良くしてくれていたことに気づきました。
そして、11年生のクモリンピックを迎えました。今年はいつも一緒に行動している友と同じチームになることができました。しかし、自分たちが雰囲気を盛り上げるべきことにまだ気付いておらず、私は何気なく練習をしていれば楽しくなると思っていました。最初の方は、楽しくないなと思いながらだらだらと日々を過ごしていたのですが、ある時気がつきました。自分たち11年生が雰囲気をよくすればよいのではないかと。
実際に自分たちが行動してみると、次第にチームの雰囲気はよくなっていき、練習も、どうしても行きたくなるほど楽しくなっていきました。無事クモリンピックも終了し、友と振り返っていると涙が溢れてきました。お互い号泣し、「お疲れ。」と言葉を交わしてクモリンピックの幕が下りました。 チームレッドのみんな、ありがとうございました。そして、他のチームの皆さんもお疲れ様でした。
■図南の翼
12年生(高3)女子
私には大きなコンプレックスがあります。それは運動ができないことです。
そのせいで体育の授業では周囲から浮き、活躍するどころか足を引っ張っている気がして、恥をかかされているとさえ思うこともありました。だからクモリンピックは心の底から忌避したいもののうちの一つでもあったのです。てっきり人生最後のクモリンピックでは喜びのあまり泣きじゃくると思っていました。
しかし私は達成感で、それと何より寂しくて泣いていました。
私はやはり運動はできませんし、ダンスの覚えも悪いです。それでも私が楽しめたのは、周囲に私を責める声がなかったからです。できなくても、それを笑ったり白い目で見たりせず、かと言ってあからさまに気を遣って慰めたりせず、ごく自然に私はチームというものに馴染めていました。
ダンスが上手だったり、ポスター制作を進んでやってくれたり、場を華やげることをしてくれたり、私の周りには素敵なチームメイトが沢山いてくれました。私はそれを誇らしいと思います。それぞれが、それぞれの個性や特技を遺憾なく発揮でき、その全てを受け止められる寛容さを持っていました。
私は、楽しむということは笑えればいい、ということだけではないと思っています。楽しむということは、その場に居場所があると感じられることです。運動という舞台において完全に居場所のなかった私に居場所を作ってくれたのは、何よりブルーチームのメンバーです。そこには先輩も後輩もなく、ただ自由に、惜しみなく、楽しんでいる姿がありました。
まだ来年、再来年と機会を残した、輝ける後輩たちの図南の翼の片鱗が見られたようで嬉しい限りです。こんな青春を過ごせて、私は果報者です。
(※図南の翼・・・大事業をしようとする志や計画のこと。)
■Musical 2022 "EVITA"
担当 Walter Doyle
On November 12, auditions were held in the Assembly Hall. Twenty two students sang and acted and pushed themselves to do their very best. From that group 16 people were chosen to perform in this year’s musical, Evita.
From 19:00 that night, there was a thrill of anticipation amongst the spectators who filled the hall. They were seeing the first steps toward the making of the musical. Many of those trying out had never been heard singing by their peers. Performers were nervous; their supporters were hopeful, and, as always, the evening was very positive.
The musical follows the dramatic rise of Eva Peron Duarte, the most powerful woman in Argentine politics. The show is very much an ensemble piece and features well known songs such as "Don’t Cry for Me Argentina" and "Another Suitcase in Another Hall". This will be KLAS’s first musical by Andrew Lloyd Webber.
【日本語意訳】
11月12日、学校のホールでオーディションが行われました。22人の生徒が歌い、演技を披露し、自分を奮い立たせて、ベストを尽くしました。その中から16名が今年度のミュージカル「エビータ」に出演することになりました。
オーディションの日の19時から、ホールを埋め尽くした観客である生徒や教員たちは期待に胸を膨らませていました。ミュージカル制作の第一歩が踏み出されたのです。オーディションに出る生徒たちの多くは、仲間の歌声を聞いたことがありません。オーディションに挑戦した生徒たちは緊張し、応援する生徒の期待に胸を膨らませ、いつものように大変ポジティブな夜となりました。
このミュージカルは、アルゼンチンの政界で最もパワフルな女性、エヴァ・ペロン・ドゥアルテの劇的な成長を描いています。「Don't Cry for Me Argentina」や「Another Suitcase in Another Hall」などの有名な曲を中心に、アンサンブルで構成されています。KLASでは初のアンドリュー・ロイド・ウェバーによるミュージカルとなります。