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ミュージカル“Schoolhouse Rock Live! ”を終えて



昨年は休校のため開催できなかった、26年目の英語ミュージカルが成功裏に終了しました。今回のミュージカルは、往年のアメリカ人気漫画の楽曲を使用したミュージカル ”Schoolhouse Rock Live” です。この作品は、若い教師を主人公とした物語で、文法や掛け算、科学について教えてくれる曲が登場します。キャストの選定は昨年秋に実施され、以来リハーサルを重ねてきました。コロナ対策のため、キャストは事前に検査を受け、会場の窓を常に開放するなど、例年とは異なる状況でしたが、演技、ダンス、音楽ともに大変楽しいショーでした。担当教員と参加した生徒のコメントを紹介します。


担当 Walter Doyle

With the disappointment from canceling “Snoopy!!!” three weeks before opening night last year, the time leading up to the musical was fraught with the worry that Schoolhouse Rock Live! would meet the same fate. We had to do things differently because we had to do things safely. The thought of not doing a show would mean students would have no experience mounting a production next year: this was enough reason to push onward.

Rehearsals had to be safe, so everyone was masked and the rooms had to be ventilated. When we started rehearsals, we were unsure of whether we could even put on a show and still follow the safety guidelines: we were not sure we could have an audience in the same room as the performance.

As the time progressed, restrictions on performances changed and the size of an audience increased and, with the blessing of the School doctor and the Health Centre, we were able to have unmasked performers and a masked audience in the same room. The cast had to be tested for Covid-19 before the first unmasked dress rehearsal, and if there had been a positive test, the show would have been canceled. It was a very stressful week.

For the audience, we could only have members of the school community. To keep the room ventilated, we had to keep doors and windows open, and with the natural light coming in, we could not have a blackout. Nonetheless, the show felt special. In the audience there was a great deal of anticipation and excitement about being there.
As the director, I was ready to watch a good show. I knew the cast were well prepared; they were so cooperative and organised and full of energy that nothing could go wrong. The orchestra, a small combo of keyboards, bass and drums, made some of the most exciting music heard in KLAS. The songs had classic rock, folk, and pop roots and the energy was infectious. By the time the show finished, the production flew through 23 numbers in quick succession.

The audience, both nights, loved watching the show. People were really impressed with the orchestra and showed their appreciation with generous applause.

It was a gamble to try and put on a show this year, but I'm glad we did it.

【日本語意訳】

昨年の『Snoopy!!!』は公演3週間前に中止が決まり、今年も本番までの期間、『Schoolhouse Rock Live!』も同じ運命をたどるのではないか、という不安がありました。 安全におこなうためには、従来とは異なるやり方をしなければなりませんでした。今年ミュージカルをやらなければ、来年は経験者がいない状況で準備をすることになるという意味で、前に進む理由が十分にありました。

全員がマスクをし、部屋では換気をしてリハーサルを実施しました。始めた当初は公演ができるかどうかわからない状態で、また、規制に準じるとしても本番で観客を迎え入れていいのかどうか、などの不安がありました。

時が経つにつれ、規制が緩和され、観客を入れる基準の規模も大きくなりました。学校医とヘルスセンターの許可を得て、キャストはマスクを外し、観客はマスク着用して、公演をおこなうことができるようになりました。キャストはドレスリハーサルの前にCovid-19の検査を受けましたが、もしも陽性者が出ていたらミュージカルは中止になっていたでしょう。非常にストレスの多い1週間でした。

客席に入ることができるのは、校内の人だけでした。部屋の換気を保つためには、ドアや窓を開けておかなければならず、自然光が入ってくるので、真っ暗な状態を保つことはできませんでした。それでも、今年の公演は特別なもので、観客席では期待と興奮に満ちていました。

私は監督として、素晴らしい公演を見る準備ができていました。キャストは大変よく練習をしてきていましたし、みな協力的で、エネルギーに満ち溢れていたので、何も問題はないと思っていました。オーケストラは、キーボード、ベース、ドラムという小さな編成でしたが、KLASで聴くことのできる最もエキサイティングな音楽を奏でていました。クラシック・ロック、フォーク、ポップスなど、23曲の様々なジャンルの曲が次々と演奏され、そのエネルギーは人々を魅了しました。2日間の公演ともに、観客はとても楽しんでくれていたようです。オーケストラの演奏にも感銘を受け、惜しみない拍手が送られていました。

今年はできるかどうかわからず「賭け」ではありましたが、本当にやってよかったと思っています。


■Schoolhouse Rock Live
12年生(高3)女子

バックステージで円陣を組み、幕が開け、スポットライトを浴びる。2年前にもキャストとして参加した私にとって、そんな久しぶりの経験に2年前のミュージカルが一瞬フラッシュバックし、このミュージカルに集中して全力で楽しもうと思ってからは、その言葉通り、『一瞬』でした。

今年のキャストの中で、唯一本番を経験していた私は、去年、そして一昨年の先輩のように、見本となる姿を示さなければと意気込んでいました。しかし実際には、課題や委員会活動との両立が大変であったり、練習中に場の空気を盛り上げることができなかったり、気づいたことがあってもキャストのメンバーにアドバイスすることができず、目標とする姿のようにできない自分に苛立つこともありました。

そんな中、上級生からのプレッシャーを感じながらも一生懸命取り組み、感じていることを思い切って言ってくれた10年生。実力を発揮して皆を引っ張り、レベルの底上げをしてくれた11年生。下級生を巻き込み、楽しい空気感を作り出してくれた12年生。またキャスト同様、もしくはそれ以上に熱意があったと言っても過言ではないオーケストラのメンバーにも支えられ、私も自分の思っていたことを伝え、かつ自分にもできることがもっとあると見直し、取り組むことができました。日に日に皆の結束が強まるのを感じ、それと同時にみんなのバラバラだった意識も一つにまとまり、楽しい練習時間へと変化していきました。

平日も休日も何時間もかけて練習したものが、例え2日間の数時間で終わってしまっても、この3ヶ月間は何物にも代えがたい時間だったと思います。終わった時の達成感と充実感は言葉では表せないもので、一時は「早く終わって欲しい」と思っていたミュージカルですが、「もう終わってしまう」という寂しさへと変わっていました。コロナ禍の影響でイベントがことごとく中止になっている中、今まで通りにミュージカルを楽しんで進められたことに喜びを感じ、意義があったと思います。それも全て、ミュージカルに関わってくれた人の協力があってこそのものです。キャスト、オーケストラ、小道具、照明、ヘアメイクのみんな、そして指導してくださった先生方、ありがとうございました。

ミュージカルは私のKLAS生活の中で大きく成長するきっかけをくれたものの一つであり、絶対に忘れられない思い出となりました。今年のミュージカルが見ていた人にとっても意味のある時間であり、挑戦してみようと思ってもらえていれば嬉しいです。


■初めて実感した「縁の下の力持ち」
11年生(高2)女子

私は11年生。本来ならば、今年4月の末に行われたミュージカルは2回目のはずでしたが、昨年はコロナ禍で無念ながらも中止となり、私は10年生たちと同じタイミングで初のミュージカルを迎えました。「ただ観客として傍観するより、スタッフ側としてミュージカルに参加する方が絶対に楽しい」、そう10年生の頃先輩に断言されたのをきっかけに、私はミュージカルでの何かしらの役職を希望し、ステージマネージャーとして裏方に徹することに決めました。

ステージマネージャーとは、出演者たちが間違えたり覚えていない箇所のセリフを伝えたり、演技上の助言をしたりするのが主な仕事ですが、もちろん本番間近になればそんな私たちは、必然的にお役御免となります。もちろんそこで終了ではなく、その後はプロップマネージャーたちと合同での作業となりました。プロップとは劇の際に用いられる小道具のことで、演者たちがそれらを必要とした時、それに応じたプロップを裏から舞台上にいる彼らに手渡すのが仕事です。これだけではさも簡単な作業のように聞こえがちですが、実際はおそらく100を越すであろうプロップの数々、短時間での出演者の早着替えの手助け、3箇所ある出入り口のどこからどのプロップを、どのタイミングで渡すのか。などなど、注意点は挙げてもキリがないほどに数多くありました。それは私の想像以上に難しく、タイミングがずれたり、必要なプロップを出し忘れたりしたことも何度あったかわかりません。そこで実感したのは、裏方、つまり出演者以外の努力です。

裏方と一口で言っても様々で、照明や音響、メイクやダンスの振り付けまで全てが分担された仕事であり、その上でミュージカルが成り立っていることを実際にその目で見て、体験したのです。もちろん、劇などが全て出演者たちのみで成り立つのだとこれまでも思っていたわけではありませんが、いかに裏方の仕事が大変なのか、そしてどれほど劇全体にとって意義のあるものであるかを、身を以て感じることができたのです。

この体験から、ミュージカルとは多くの人による、多くの善意や助けがあればこそ成り立つ、いわばこの学校の助け合いの精神の集大成であると私には感じ取れました。実際、本番に観客席で見たミュージカルは、みんなの様々な思いや努力で満ち、時を忘れるほどに素晴らしいものでした。


■大変な時ほど頑張るべきだ
10年生(高1)男子

私はKLASでのイベントは可能な限り参加することを決めています。そして、今回はミュージカルのキャストとして参加させていただきました。
今回、ミュージカルに参加したきっかけは先輩に誘われたので挑戦してみようと思ったからです。しかし、軽い気持ちで参加したミュージカルは私にとって大変つらいものでした。なぜなら、私は英語があまり得意ではないと思っていたからです。KLASのミュージカルは歌も台詞も全て英語で行われます。それに加えて、1月から約4ヶ月間の練習が続きました。

そんな練習の日々が続いている中、KLASは春休みへと入りました。私はミュージカルの練習がしばらくないだろうと甘く考えていました。しかし春休みにも何日か練習が入っていたのです。ミュージカルに関係していない人達は皆、私たちが練習をしている間にスノーボードやスキーに行くことが可能でした。それが羨ましいと思った私はついに練習を許可なく休み、スノーボードをしに出かけてしまいました。その結果、後日担当の先生に怒られてしまいました。

それからは練習を集中してやっていこうと考えた私ですが、ここで私は大きな壁にぶつかります。私は先ほども言ったように英語に自信がなく、先生に何度も発音を直され、キャストのみんなで練習をしているのに私の個人レッスンのようになることがありました。そんな私は、みんなに迷惑をかけたくないのでミュージカルを辞めてしまいたいと思うほどまで追い込まれました。しかし、そんな私を救ってくれたのは友達と先輩です。特に同級生がもう一人キャストのメンバーにいなかったら私は最後まで頑張れていなかったと思います。彼はKLASに入ってから仲が良く、何度も助けてくれました。

その後、私は悔しかったため練習の量を増やしました。毎日大変でしたがやり切りました。その結果、全てのセリフを覚えた頃には自信もついてきて大きな声も出るようになりました。先輩、先生に褒められるようになり、ある先生から「キャストの中で最も成長した生徒だ」とまで言っていただき、とても嬉しかったです。

そして本番では、ミスをすることなく終えることができました。私は一時期ミュージカルに参加したことをとても後悔していました。しかしミュージカルを終えた今は、英語の発音も少し向上し、とても楽しめたので、参加してよかったと思っています。練習はとても大変ですが、参加する価値はあると私は思います。